2014年3月21日金曜日

#009.色の親方


親方は、冷たい雨の中、カッパも着ずに、道具の忘れ物も多かった。
世界遺産候補の目の前にある建物の色の塗り替えに際して、「大丈夫かな?」と思ってしまった。


親方は大版の重いコンクリートのサンプルを用意してくれた。
色見本帳を指しながら「これくらいのグレーを濃くできますか?」と言うと・・・。親方はだまって5つのペンキの缶から調合を始めた。
30秒くらいで、「これでどうね?」。
一発で希望の色を作ってもらった。このようなプロフェッショナルの技に支えられて、頭ヶ島の文化的景観が保たれていく。
次の瞬間、「ここは魚のよく釣るっとよ!」。
親方は、笑っていた。